中国と聞くと皆さんどんなイメージでしょうか?
✔︎ まだまだ未熟な新興国
✔︎ 既に発展フェーズが終わっている成熟した新興国
✔︎ 恐怖政治が行われている国
と負のイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
では本当にそのイメージは正しいのでしょうか?
本日は2023年現在の中国の実態について実際に中国に定期的に訪れている筆者の目線で定量的なデータを用いながらお伝えしていきたいと思います。
2028年に世界1位を狙う中国経済
中国が日本を抜かして世界第2位の経済大国になったのは2009年です。その後、12年が経過し現在のGDP上位3カ国の推移は以下の通りです。
僅か12年前に同じ経済規模だった中国は今や日本の3倍にまで伸張しているのです。
殆ど成長していない日本と、年率6%以上で成長している中国で大きな差が出ています。
以下は先進国と新興国と中国の経済成長率の推移です。
中国は黄色い線で常に一番数字が大きいことが分かりますね。一貫して先進国や世界だけでなく新興国の経済成長率も上回り続けています。
減速していると思われている中国経済は、実は高成長を実現し続けているのです。
実際、株価に大きな影響を与える企業の1株あたり利益であるEPSも上昇の一途を続けています。
EPSが上昇しているにも関わらず株価はほぼほぼ停滞しています。つまり、株価の割安度合いは強くなり続けているのです。
以下では中国に投資するファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
コラム:懸念されている債務問題は大丈夫?
懸念されている債務問題についても見ていきましょう。
よく中国は債務問題を抱えていると指摘されます。確かに以下のとおり政府債務、企業債務、家計債務のGDP比率は上昇の一途をたどっています。
ただ、借金が溜まっていっているのは中国だけではありません。米国も日本も借金が積み上げられていっています。
一般的に借金ときくと負のイメージがありますが、実は成長する国が借金をするのは当然のことなのです。
まず、政府債務ですが政府は通貨発行権を保有しているので負債を背負っても、お金を刷って返済することができます。
これは今、日本と米国が積極的に行なっていることですよね。
次に特に成長国において国や家計が借金するのも当たり前のことです。新たな成長機会があるから企業は設備投資を行い収益の拡大を狙いにいきます。
むしろ、収益機会がなく借り入れ需要がない日本の状態の方が問題なのです。
また、個人についても高度経済成長期の日本を考えれば至極当然です。収入が毎年のように増加すると、今後の収入増加を視野にいれて借金をしていきます。
今までは手が届かなかった車をかったり、家を買う人もでてくるでしょう。つまり経済成長の原動力である消費をする熱が増加してきていると捉えることができるのです。
中国の今後の成長戦略「中国製造2025」とは?
今まで中国の成長を支えていたのは重厚長大の鉱工業でした。中国は第三次産業が中心の産業構造に変革してきています。
ちなみに日本や米国のような先進国は第三次産業が70%-80%の水準となっています。
因みに第三次産業とは農林水産業といった第一次産業や、第一次産業が採取・生産した原材料を加工して富を作り出す第二産業以外の産業分類です。
具体的には以下の業種が当てはまります。
✔︎ 小売業
✔︎ 運輸業・郵便業
✔︎ 医療・福祉
✔︎ 情報通信業
✔︎ 金融業・保険業
✔︎ 電気・ガス・水道業
等が挙げられます。医療産業や情報通信業、またECを使った小売もハイテク産業となります。
最近、アリババやテンセント、バイドゥが巨大になっていることからわかる通り、高付加価値産業が大きく成長していることが読み取れます。
中国は2025年に「中国製造2025」として10個の重点分野を設けて取り組んでいます。
中国製造2025の重点分野 | |
1 | 次世代情報技術 (半導体、次世代通信規格「5G」) |
2 | 高度なデジタル制御の工作機械 |
3 | 航空・宇宙設備 |
4 | 海洋エンジニアリング・ハイテク船舶 |
5 | 先端的鉄道設備 |
6 | 省エネ・新エネ自動車 |
7 | 電力設備 (大型水力発電・原子力発電) |
8 | 農業用機会(大型トラクター) |
9 | バイオ医薬・高性能医療機械 |
皆さんご存知ではない方も多いかもしれませんが、5G、宇宙分野、先進医療、電気自動車などで日本よりも進んでいます。コロナのワクチンに関しても日本製のものはありませんが、中国は自国で開発に成功しています。
電気自動車についても近年テスラが脚光をあびていますが、生産台数ベスト20に最もランクインしているのは中国なのです。3位の比亜迪をはじめとして20位までに7社がランクインしています。
このように中国は製造業の分野で確かなプレゼンスを発揮しているのです。
半導体市場で覇権を狙う中国
そして、今後の製造業で最も重要となってくるのは半導体市場です。スマートフォンやEV(電気自動車)、5Gなど主要分野で半導体は不可欠な部品となっています。
半導体市場での影響力がいかに重要かは想像に難くないでしょう。
中国は2025年までに半導体自給率を70%まで引き上げる目標を掲げています。
生産力を強化しガンガン成長していく予定なのです。さらに、5Gに関しても中国は世界の先頭を走っています。
【2月26日 Xinhua News】移動通信の国際業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は22日、中国上海市で開催のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)上海」期間中に「2021年中国移動経済発展報告書」を発表した。
報告書によると、2020年の中国の第5世代移動通信システム(5G)接続数は2億台余りで、世界全体の接続数の87%を占めており、25年には8億2200万台に達する見込みだという。また、20年から25年までの事業者による設備投資は2100億ドル(1ドル=約105円)に達すると期待され、うち90%が5Gネットワークの構築・展開関連だという。
参照:AFP News
既に10年前に中国に対していだいてる「遅れている」という印象は過去のものとなっているのです。
中国はアジアのシリコンバレーとして名乗りを上げています。
今後の中国経済の成長力が高い理由とは?
重要なのは今後の成長力です。最初に示した図のようにIMFは今後も6%以上の成長が継続することを見込んでいます。
ではなぜ中国の成長が高いレベルで維持するかを紐解いていきたいと思います。
依然として中国の生産年齢人口は増加する
経済が成長するためには生産量を増やして、消費量も増えていく必要があります。そのためには人口が増えていく必要があります。
現在の中国の人口ピラミッドは以下の通り一人っ子政策のせいで綺麗なピラミッド型ではなくなっています。
ただ、2030までは人口が増加することが見込まれています。さらに現在20代から30代の層が10年で成熟して生産性も高まります。
これから10年以上は少なくとも高い成長が続くことが見込まれます。
拡大し続けている個人消費
日本や米国の経済の主要パートを占めているのは個人消費です。
一方、中国のGDPに占める個人消費は40%を下回る水準で以前として投資(=総固定資本形成)が経済を索引している状態となっています。
ただ、10年前には30%程度でしたので徐々に増加してきています。そしてこの傾向は今後も続くことが見込まれています、
以下中国の小売売上高の推移ですが右肩上がりで上昇し、上昇スピードも加速してきています。
今後は先進国に近づくように高い個人消費の成長を元に高い経済成長率が継続することが見込まれます。
積極的に政府が成長投資をし続ける姿勢を鮮明にしている
国の成長と財政支出の伸び率には明確な相関関係があります。
なぜ、日本が成長していないのかは明白な理由があります。政府が積極的に投資と支出をしていないことが根本の問題としてあるのです。
一方、中国は大きく財政支出を増やしているので経済成長が実現しています。これは今後も同じ姿勢であることが先ほどの中国製造2025でも読み取れます。
中国は1949年からの建国100周年である2049年に製造強国で世界の覇権を握るべく段階的な目標を打ち出しています。
実際、中国は年々研究開発費を増やしてきています。国が積極的に関与してイノベーションを推進していく姿勢が数字の上でも明確に伝わってきています。
積極的に国が成長を後押ししている国は必然的に伸びていくのは必然です。
日本も高度経済成長期までは積極財政を行なっていたのですが、今は緊縮財政ばかりで経済が萎んでしまっています。成長をし続ける中国にこそ学ぶべき点が多いのです。
まとめ
中国は成長を続け2028年には米国を抜き世界1位の経済大国になることが見込まれています。
✔︎ 依然として新興国平均より高い成長率を持続している
✔︎ 産業構造が高付加価値なハイテク産業にシフトしてきている
✔︎ 中国製造2025でさらに産業の高付加価値化を推し進めることが明言されている
✔︎ 人口は今後10年間は増加し続ける
✔︎ 個人消費は増加し続けている
✔︎ 中国政府は積極的に研究開発費を拠出しつづけ成長を後押しすることを明確化
今後も中国は新興国の先頭として成長し続けていくことが見込まれます。
中国の成長は安全保障上は好ましくない点もありますが、投資家としては乗っていきたいところです。
中国の株式市場については以下でお伝えしていますので参考にいしていただければと思います。
→ 中国株式市場は割安で投資する機会が到来!A株、B株、香港H株、レッドチップなどの違いについてもわかりやすく解説する。
中国に投資するにあたって魅力的な選択肢につしては以下でまとめています。