株式投資よりも安全なイメージがある「投資信託」。
しかし、投資であることには変わりがなく、選び方を間違えると、大損してしまうこともあります。
それでは一体、投資信託を始める際にはどんな商品を選び、どのような商品を避けることで大損を回避することができるのでしょうか。
投資信託で大損を避けるための投資術と、万が一大損が現実に起こってしまった場合の解決策の両方を紹介します。
いくらの損失が大損になるのか
まずはどの水準から「大損」と考えるべきなのか?
「リーマンショック」期を例に取ると、2年間で50%以上の株価下落が起こりました。
この前後の時期、つまり2006年から2009年まで投資信託を継続していたとすると、単純計算で資産の半分を失っていたことになります。
2,000万円を投資していたと仮定すると、1,000万円を失ってしまったという計算になります。
これは、誰がどう見ても大損です。
リーマンショックは特殊な事情ですから、これと同じ相場変動が起こる可能性は、あまり高いとはいえません。
しかし、一般的に考えると、資産の20~30%ほどが失われてしまったとすれば、これは大損の範疇として考えるべき数字といえるのではないでしょうか。
投資信託で大損を避けるための投資術
「株式投資」で損してしまうと、当然ですが人生にも大きな影響を及ぼします。
大損を避けるための投資術を解説します。
目論見書には必ず目を通す
投資信託における「目論見書」は、家電やゲームの取り扱い説明書と同じような役目を果たすため、読んでおかなければ、どんな投資信託なのか知ることができません。
営業マンのイチオシによって投資の有無を決断してしまう方もおられますが、目論見書は自分自身の目で必ず確認するようにしましょう。
特にファンドの運用実績はしっかりとチェックすることが重要であり、そこから長期的に見て信頼に値するファンドなのかどうかを確認します。
また、目論見書には運用期間、決算日、コストなどが全て記されていますから、投資家にとって不利な条件になっていないか、他の投資信託と比較しながら考えましょう。
毎月分配型投資信託には要注意
投資家に対して「分配金」が支払われる時期は投資信託によって大きく異なり、年に一度の投資信託もあれば、毎月分配を行う投資信託も存在します。
毎月収入がある「毎月分配型投資信託」は魅力的に見えますが、その分配金がどこから捻出されるのかは、事前に確認しなければなりません。
もしも投資原本から分配を行うという設定にしている投資信託ならば、利益が還元される訳ではなく、投資元本の一部が返されているだけに過ぎないことを理解しましょう。
また、利益そのものが還元されていたとしても、運用資金そのものは毎月目減りしてしまうので、長期的な大きなリターンは期待しにくくなってしまいます。
多額の予算を一つの投資信託に支払わない
投資信託の利率は決して高くありませんから、少しでも多くのお金を預けて資産運用したいと考えてしまうかもしれません。
しかし、投資の基本は余剰資金の運用です。
そのため、常に大損をする可能性を視野に入れながら、そうなったとしても生活に支障を来さない投資額に抑えることが重要です。
投資信託にはハイリスクハイリターンな商品からローリスクローリターンの商品までが揃っていますが、一つの商品に依存せず、分散投資することも心がけましょう。
特にリスクが高い商品ばかりを選ぶのではなく、安定した運用を行っている投資信託を選んで混ぜることによって、一つの局面で致命傷を負うリスクを減らせます。
大損しないために選ぶべき投資信託
投資信託で大損しないためには、選び方も重要です。
選び方のポイントを解説します。
インデックス型の投資信託を優先する
投資信託はタイプによって分類されており、「インデックス型」と「アクティブ型」がありますが、より安全に資産運用したいのであれば、インデックス型を優先しましょう。
インデックス型の場合、例えば「日経225」や「NYダウ」のような指標に沿って連動していくので、一部の銘柄による極端な相場変動を避けられます。
一方のアクティブ型は、元々の値動きが激しい銘柄を狙った投資信託なので、リターンが大きいぶん、リスクも大きくなってしまうという欠点があります。
そのため、あくまでも長期的な資産運用を目的に投資信託を行うのであれば、インデックス型を選んだほうが、大損する可能性を低下させることができるのです。
売買手数料がかからない投資信託の中から選ぶ
投資信託は元本が保証される投資ではありませんが、購入時には、一定の売買手数料を取られてしまう場合があります。
将来的にそれ以上のリターンを受けられる可能性はありますが、購入手数料がかかってしまうと、マイナスからのスタートになるとも言い換えられるのです。
投資信託には、購入時に手数料がかからない「ノーロード型」の商品がありますから、この中から購入する商品を検討するといいでしょう。
つみたてNISAを活用する
ここまでの情報を整理しても、結局どの投資信託を選ぶか分からなければ、安定性が高い「つみたてNISA」に投資してみてもいいでしょう。
つみたてNISAから投資できるのは、国が明確に定めた基準をクリアした投資信託だけなので、大きなリスクを孕む投資信託は取り除かれています。
さらに120万円までの運用益は非課税となりますから、多額の利益が出た場合に支払わなければならない費用もカッとできて、一石二鳥です。
投資信託で大損してしまった場合の解決策
投資信託の攻略法としては、長期保有を軸に考えることが一番なので、そもそもデイトレードや「スイングトレード」のように、短期間で利ザヤを狙うという投資には向いていません。
仮にリーマンショック級の荒れた相場が訪れたとしても、そこで狼狽売りせずに残しておけば、現在の米国株式市場のように、歴代最高値更新を迎えることもあります。
もしも大損が発生してしまったとしても、一時の相場変動によって慌てるのではなく、数年後、十数年後までの未来を見据えて、持ち越すことを基本に考えましょう。
投資信託の内容次第では速やかにロスカットする
インデックス型の投資信託の場合、基準となる日経平均株価などの回復に伴って資産を取り戻せますが、それ以外の投資信託には注意しなければなりません。
運用している銘柄が限定的な場合や、中身がよく分からないまま投資を続けている投資信託の場合は、速やかなロスカットも選択肢に含めましょう。
そういった投資信託の場合、日経平均株価などが上昇したとしても連動せず、マイナスばかりが蓄積される恐れがあるため、早めに処分することを意識してください。
確定申告を行う
投資で確定申告を行うのは利益が出たときだけではなく、損失を出したときでもあります。
確定申告を済ませれば、所得通算によって税金を控除することができます。
損失の全額をカバーすることはできませんが、一部を取り戻すことはできるので、この制度は絶対に活用しましょう。
まとめ
投資信託でも大損をしてしまうというケースは大きく、局面的に資産を半減させてしまう可能性もありますから、投資する商品選びには注意が求められます。
安定した投資を行うのであれば、投資信託の中からインデックス型の商品を選ぶことによって、それぞれの指数と連動した値上がりに期待することが可能です。
もしも大損を出してしまったら、投資信託の内容から保有かロスカットかを選んで、ロスカットした場合には必ず確定申告を行いましょう。