老後の豊かな生活を実現しよう

退職金運用マンの投資録

危険?評判の楽天モバイル債と楽天カードマン債はリスクが高く買うべきか?倒産のリスク等のデメリットを含めて徹底評価!

債券全般

危険?評判の楽天モバイル債と楽天カードマン債はリスクが高く買うべきか?倒産のリスク等のデメリットを含めて徹底評価!

最近、ソフトバンクや楽天の社債が非常に話題となっており、筆者自身も興味深く拝見させていただいています。

【最新ブログ】毎回売り切れで評判のソフトバンクグループの社債(劣後債)は危険!?ソフトバンクの社債型種類株式も投資して大丈夫?個人向け社債の知られざるリスクについてわかりやすく解説!

 

潰れるはずがないであろう大企業にお金を貸し付けることで高い利回りが得られるのであれば、魅力的ですよね。

しかし、本当にその企業は「返済可能」なのでしょうか?本当に倒産しないのでしょうか?

 

煽るつもりはないのですが、リーマン・ブラザーズが倒産するなんて誰にも想像できませんでした。

日本航空、そごう、ライフ、日本リース、日本振興銀行、協栄生命保険、山一證券など、まさに国民が倒産するとは想像できなかった倒産劇でした。

 

社会は凄まじいスピードで進んでおり、歪みが生じ、時代に取り残されてしまう企業は山ほどいます。

どのような企業であれば信じられるのかというと、やはり利益を大きくあげている企業ですよね。

 

楽天は社債を昨年から今年にかけて頻繁に発行していますが事業は好調なのでしょうか?

倒産する可能性はないのでしょうか?

楽天が発行している社債の詳細とともに最新決算を元にしながら論じていきたいと思います。

 

楽天が発行している社債は3つ

2種類あります。楽天グループが発行している楽天ドル建て債、そして楽天カード株式会社が発行している楽天カードマン債です。

それぞれしっかり見ていきたいと思います。

楽天ドル建て債とは?

日経新聞でも報じられていましたが、12%の高利回りです。

 

楽天Gは5億ドル(約700億円)の2年物無担保優先債のマーケティングを進めている。

楽天Gがドル建て2年債発行へ、約700億円-モバイル部門てこ入れ

楽天グループが30日に発行するドル建て社債の利回りは10%超と、2019年に起債したドル建て債(3%台)を大きく上回る。携帯事業の基地局整備などに投じた費用は総額1兆円を超え、今後も投資が必要ななか、資金の調達先を多様化する狙いなどがあるようだ。利払いを増やしてでも必要資金を確保する姿勢には「携帯市場の民主化」完遂に挑む楽天Gの覚悟がにじむ。

楽天G、覚悟の「12%」 ドル建て債高利回り

 

S&Pは2022年12月16日にBB+からBに格付けが引き下げられています。これは投機的な水準でかなりリスクが高い状況です。

いわゆるジャンク債です。

 

投資適格 AAA
AA
A
BBB
BBB-
投機的水準 BB+(今回の楽天Gの社債)
BB
B
CCC
CC
C

 

投機的水準とはどのようなことかというと、金融機関では以下のような定義になっています。

 

信用リスクが高く、機関投資家の投資基準を満たしていない格付けのこと。一般的には、格付け会社から付与されるダブルB格(S&P、フィッチ、JCR、R&IならBB、ムーディーズならBa)以下の格付けを指します。「投資不適格」と呼ぶ場合もあります。このような格付けが付与された債券を、「ジャンク債」「ジャンクボンド」「ハイ・イールド・ボンド」「ハイイールド債」「高利回り債」などといいます。

投機的格付け(とうきてきかくづけ)

 

「ジャンク債」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

機関投資家の投資基準を満たしていない格付けということで、楽天グループは機関からお金を借りたいが借りれないので、個人投資家にリスクを背負わせて調達がしたいということですよね。

 

確かに利回りが10%以上の社債でしたら、精査せずに飛びつく投資家はいくらでもいるかもしれないです。

筆者であれば、見向きもしない社債です。あり得ないです。

 

2023年1月発表!日本の個人投資家に向けた楽天モバイル債(年率3.3%)

モバイル事業の資金繰りが厳しいのか2022年6月につづいて2回目の楽天モバイル債の発行が2023年1月6日に発表されました。

2022年6月に1500億円、2022年11月の500億ドルの米ドル建債につづいて3度目の発行となります。

 

楽天グループが個人投資家向けに2500億円の社債を発行する準備をしていることが6日、わかった。楽天Gの個人向け社債の一度の発行額としては最大となる。27日に条件決定する予定で、2年債で利率は2~4%の範囲内としている。

同日、関東財務局に訂正発行登録書を提出した。申込期間は1月30日~2月9日、払込期日は2月10日。償還期限は2025年2月10日までの2年債となる。日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを27日に取得する予定だ。

愛称は「楽天モバイル債」となる。調達した資金について同社は「携帯電話事業の運転資金などに充てる」としている。

 

発表された時は利率は未定でしたが2023年1月27日に年率3.3%(税引前)と発表されました。

楽天モバイル債の利率

 

ドル建債は世界的な格付け会社であるS&Pグローバルによってジャンク債と判定されているので高利回りを謳うしか海外投資家からの資金は集まりませんでした。

しかし、日本では日本格付研究所(JCR)という世界的にはマイナーな日本ローカルの格付会社からシングルAの格付けを受ける見込みです。

日本格付研究所の格付けの序列は以下です。

日本格付研究所の格付けの序列

 

ただ、2023年6月21日時点での最新情報ですがJCRですら楽天グループの格付けを「A-」に下げるというニュースがでています。

 

日本格付研究所(JCR)は21日、楽天グループのクレジット・モニターを解除し、「A」から「A-」に格下げしたと発表した。

1.モバイル事業の収益改善が遅れており、同事業の赤字額は減少しているものの、その改善度合いは小さいと指摘
2.ゼロ円プラン廃止の影響が長引いており、純増数は低水準にどどまっているとし、モバイル事業の業績改善はJCRの従来の想定より時間を要すると判断
3.格付け見通しは「ネガティブ」

 

ただ依然として日本格付研究所の「A-」債務履行の確実性は高いとなっています。

しかし、S&Pグローバルと日本格付研究所も両方とも評価しているのは同一法人の楽天グループです。

どちらの方が信頼できる評価かといえば間違いなく世界的な格付け会社であるS&Pグローバルです。実際、筆者も追って財務諸表を確認していますがS&Pグローバルが正しいと思います。

かなり自転車創業的な状況となっておりA格付けを与えるのは色々と勘ぐってしまいます。

 

海外では10%以上の利息を付与しないと資金が集まらないので、日本で高い格付けを見せかけだけでも取得して低い利息で社債を発行して資金調達をするという下心がみてとれますね。

デフォルトした場合は元本が全額毀損するリスクを負いながら僅か2%-4%の利息しか期待できないのは正直割に合いませんよね。

以下は安全性が高く10%程度のリターンを狙う投資先について紹介していますのでご覧いただければと思います。

 

【2024年】日本国内の魅力的なヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介! 

 

楽天カードマン債

楽天カードマン債利回り

 

楽天カード株式会社が楽天カードマン債を発行しています。

募集要項は以下となっています。

 

正式名称 楽天カード株式会社 第9回無担保社債(社債間限定同順位特約付)
愛称 楽天カードマン債
期間 5年
格付け A-(R&I)、A(JCR)
当社販売期間 2022年12月5日(月)0:00~2022年12月15日(木)14:30
利率(年率) 12月2日(金)条件決定予定
利払日 毎年6月16日および12月16日(年2回)【初回利払日:2023年6月16日】
発行日(受渡日) 2022年12月16日(金)
償還日 2027年12月16日(木)
発行価格 額面100円につき100円
買付単位 10万円以上、10万円単位

 

如何に楽天グループのドル建て社債利回りが異常であるかがわかります。

無担保債とはどんなものかは以下の通りです。

 

無担保債とは、元利金の支払いや償還のための担保を付けていない債券のことです。国債、地方債、金融債がこれに該当します。CB、一般事業債については、発行基準を満たす会社について、無担保債の発行がなされます。

無担保債

 

単純に担保なしということですね。金を貸して返ってこなかった場合、代わりに差し出されるものもないということです。

先ほどと被りますが格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)の楽天カードマン債に対する評価はそれぞれ長期でAー、Aとなっています。

R&I

AAA 信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。
AA 信用力は極めて高く、優れた要素がある。
A 信用力は高く、部分的に優れた要素がある。
BBB 信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。
BB 信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。
B 信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。
CCC 債務不履行に陥っているか、またはその懸念が強い。債務不履行に陥った債権は回収が十分には見込めない可能性がある。
CC 債務不履行に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。債務不履行に陥った債権は回収がある程度しか見込めない。
C 債務不履行に陥っており、債権の回収もほとんど見込めない。

JCR

AAA 債務履行の確実性が最も高い。
AA 債務履行の確実性は非常に高い。
A 債務履行の確実性は高い。
BBB 債務履行の確実性は認められるが、上位等級に比べて、将来債務履行の確実性が低下する可能性 がある。
BB 債務履行に当面問題はないが、将来まで確実であるとは言えない。
B 債務履行の確実性に乏しく、懸念される要素がある。
CCC 現在においても不安な要素があり、債務不履行に陥る危険性がある。
CC 債務不履行に陥る危険性が高い。
C 債務不履行に陥る危険性が極めて高い。
D 債務不履行に陥っていると JCR が判断している。

 

格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)の評価はそれぞれ短期でa-1、J-1となっています。

 

R&I

a-1 短期債務履行の確実性は高い。
a-2 短期債務履行の確実性は高いが、上位の格付に比べると、注意すべき要素がある。
a-3 短期債務履行の確実性は当面問題ないが、環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。
b 短期債務履行の確実性はa格と同等ではなく、注意すべき要素がある。
c 最低位の格付で、債務不履行に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。

JCR

J-1 短期債務履行の確実性が最も高い。「J-1」の中でも特に短期債務履行の確実性の高いものについ ては「J-1+」で表す。
 J-2 短期債務履行の確実性は高いが、J-1 より若干劣る。
 J-3 短期債務履行の確実性は認められるが、環境の悪化による影響を被りやすい。
 NJ 上位等級より、短期債務履行の確実性が劣る。
 D 債務不履行に陥っていると JCR が判断している。

 

利率は低いですが、楽天カードマン債の信用リスクは非常に低いですね。利回りはまだ確定ではありませんが1.20%〜1.80%となっています。

 

楽天カードマン債利回り

 

昨年の決算ではありますが、楽天カード株式会社は黒字経営となっています。

非上場なので情報は限られていますが、格付け機関が決算書に基づきA評価をつけているので、信憑性は高いと言えるでしょう。

楽天カードの損益計算書

 

楽天グループの社債を買って大丈夫?倒産の危険性を最新決算から紐解く

楽天グループの社債の格付けはBと酷いことになっておりジャンク債となっていますが、実際に楽天Gの財務諸表について見ていきたいと思います。

大赤字を垂れ流しているPL(損益計算書)

直近の業績は以下です。楽天モバイルの赤字が垂れ流され続けており、2022年12月末決算では3700億円の巨額赤字が計上されました。

楽天グループの業績(売上・営業利益・純利益)

売上高 営業利益 純利益
2007/12 213,938 2,376 36,898
2008/12 249,883 44,531 -54,977
2009/12 298,252 54,890 53,564
2010/12 346,144 62,301 34,956
2011/12 379,900 68,822 -1,139
2012/12 I 400,444 49,106 20,489
2013/12 I 518,568 88,610 42,900
2014/12 I 598,565 104,245 70,614
2015/12 I 713,555 91,987 44,436
2016/12 I 781,916 73,923 37,995
2017/12 I 944,474 138,082 110,585
2018/12 I 1,101,480 165,423 142,282
2019/12 I 1,263,932 -44,558 -31,888
2020/12 I 1,455,538 -151,016 -114,199
2021/12 I 1,681,757 -212,630 -133,828
2022/12 I 1,927,878 -363,892 -372,884

 

業績がわるいのはわかりましたが、重要なのはバランスシートとキャッシュフロー計算書です。

これについても見ていきましょう。

 

キャッシュフロー計算書から巨額のキャッシュアウトがあるのが読み取れる

2023年1月から3月の直近の楽天グループの営業CFは以下となっています。

営業CF 🔺1,225億円
投資CF 🔺1,098億円
財務CF 392億円
合計 🔺1,931億円

 

3ヶ月だとブレが大きいので2022年1月から12月のデータもみていきましょう。

 

営業CF 🔺2,579億円
投資CF 🔺9,524億円
財務CF 4,694億円
合計 🔺7,409億円

 

2022年は年間7409億円のキャッシュアウト、2023年に入ってから1931億円のキャッシュアウトが発生しています。

合計すると9,340億円のキャッシュアウトと1兆円近い現金が流出しています。

 

しかも、これは財務活動、つまり借り入れや社債でお金を補填した上での数値です。

単純に営業活動と投資活動だけでみると合計で1兆4400億円もの現金が流出していることになります。

全く健全ではないことがわかります。では現在のバランスシートはどうなっているのでしょうか?

 

バランスシートは負債比率が高い状態で現況が継続すると厳しい

楽天が決算補足資料でまとめた現在のバランスシートの概要は以下となります。

楽天グループのバランスシート

 

上記の図をまとめると以下となります。

総資産 20兆3495億円(うち現金4504億円)
総負債 19兆5701億円
(うち銀行預金8兆5648億円、証券3兆5078億円)
純資産 7794億円

 

楽天銀行の預金と楽天証券の預かりは見合いで現金ならびに有価証券が存在しますので、この分を相殺すると以下となります。

 

総資産 8兆2769億円(うち現金4504億円)
総負債 7兆 4975億円
純資産 7794億円

 

現在保有する現金も1年分の営業CFの赤字を賄う分しかありません。

また、純資産が総資産のわずか8.5%しかなく非常に不健全な状態です。新たな資金調達がないと2年程度で債務超過に陥ります。

あらたに借り入れや社債調達を行うと利息が発生するので当然収益を圧迫していきます。

 

更に事業再建の見通しが難しいとなると銀行が貸し剝がしをしてきます。

今まで貸してきたお金の回収に動く局面となったら楽天グループは倒産してしまうので銀行に見放されないかが鍵という状況ですね。

 

最新決算で増資を発表して株価は急落

最新の2023年5月16日に資金をふやすために増資を発表しました。

楽天グループは16日、公募増資と三木谷浩史会長兼社長の資産管理会社などへの第三者割当増資で最大約3300億円を調達すると発表した。携帯電話事業の設備投資の負担が重荷となり最終赤字が続く。投資家などからも広く資金を調達し財務基盤の改善を急ぐ。

 

増資とは新たに株式を発行することで、当然株式の希薄化がすすむので株価は下落していきます。

時価総額1兆円億円程度の企業が3300億円増資するので相当なインパクトですよね。

以下の通り発表前は750円あった株価が550円台まで下落しています。

楽天グループの株価

楽天グループの株価

あらゆる手段で資金を調達しないと危機的な状況に陥っているのです。

 

楽天グループに関するTwitterや掲示板での口コミ

楽天グループに対する声を聞いてみましょう。

投資家界隈からは楽天グループの楽天証券に対する不安感が高まっているみたいです。

法律的には分別管理で顧客資産は事業では転用できないのですが、何かないとも言い切れませんからね。

リスクに敏感な投資家界隈が騒ぐというのは危険性が高いことを意味していますね。

 

掲示板の評判もみていきましょう。

掲示板の口コミ

説明してほしいねんけど、35%希薄化する株を買う理由ってなんなん笑
買うにしても希薄化してから買ったほうが絶対いいやろ
今は絶対買い場ではないww

掲示板の口コミ

自転車操業から、よみがえった例は、私は知らない 。

 

まとめ

楽天カードマン債は信用できますが、楽天グループドル建て社債や楽天モバイル債はどうかと思います。

楽天グループの業績は悪化の一途をたどっており、このままいくと倒産するリスクがないとはいえない状況になってきています。

実際、格付け機関も投機的な水準として位置付けています。

 

楽天モバイル債に関しては元本毀損のリスクがあるのに僅か2%-4%のリターンしか見込めずわりに合わないですよね。

もっと安全性がたかく高い投資先を選ぶのが賢明といえるでしょう。

結び

 

 

急がば回れという諺がある通り、資産運用は長期的に複利で運用することによって大きな資産を形成することができます。

高いリターンを狙って投資をすると大抵大きなドローダウンに巻き込まれて投資そのものから撤退するという末路を辿ってしまいます。

人間の精神というのは暴落に耐えられるようには出来ていません。出来る限り資産の大きな下落を回避しながら着実なリターンを積み上げていくことが重要なのです。

 

年利10%であっても7年後には資産を2倍に、15年後には資産を4倍にすることができます。追加投資をすることで更に資産形成は早まっていくことでしょう。

さて、2024年以降、下落相場を回避しながら安定したリターンを積み上げるというミッションはなかなか難しくなってきています。

2010年代からパンデミック期に行った金融緩和の副作用でインフレが発生し金利が高くなることで株式市場の潜在的なリターンが低くなっているからです。

 

このような時にこそ年金基金や大学基金、更には欧米の超富裕層が投資をしている金融資産に目を向けるべきです。

上記のような機関投資家や超富裕層は金融市場の影響を抑制しながら、常に安定したリターンを求めて資産運用を実施しているからです。

以下ではリーマンショック等の暴落を回避しながら安定したリターンを出し続けている選択肢について詳しくお伝えしています。

筆者が1.5億円を形成する上でポートフォリオの主軸となった投資先も紹介しています。皆さまの資産形成の参考にしていただければ幸いです。

 

 

-債券全般

Copyright© 退職金運用マンの投資録 , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.