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評判の悪い「グローバルAIファンド」の下落の理由とは?掲示板での口コミや今後の見通しやリスクを含めて徹底評価!

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評判の悪い「グローバルAIファンド」の下落の理由とは?掲示板での口コミや今後の見通しやリスクを含めて徹底評価!

2020年のCOVIDパンデミック以降、世界のハイテク株が急上昇したことで注目を集めました。日本でも様々なハイテク株に投資する投資信託が組成されました。

当ブログでも有名なものを取り上げてきました。

 

➡︎ 投資信託銘柄考察シリーズ

 

今回はハイテク系のテーマの中でも最も注目度が高いAI関連銘柄に投資している「グローバルAIファンド」について取り上げます。

「グローバルAIファンド」コロナショックで株式市場が暴落した2020年3月から2020年末までに基準価格を3倍にした時流に乗った評判の投資信託です。

 

当ブログでは様々な投資信託を分析してきましたが、グローバルAIファンドの2020年の成績は群を抜いておりますね。

本日はこのファンドに対して主に以下の点をお伝えしていきたいと思います。

 

今回のポイント

  • どのような特徴を持った投資信託なのか?
  • AI産業の将来的な可能性
  • 為替ヘッジありと無しだとどちらがよいのか?
  • 現在2023年時点で投資をするのは投資妙味があるのか?

 

 

グローバルAIファンドの特徴とは?

それではまずグローバルAIファンドの特徴について見ていきましょう。

目論見書

 

投資対象企業は世界のAI関連企業

名前の通り「グローバルAIファンド」は世界のAI関連企業に投資をする投資信託です。

以下のようなAIの進化や応用によって高い成長が期待される企業の株式に投資を行います。

 

  • ロボティクス
  • フィンテック
  • IoT
  • セキュリティ
  • VR
  • 自動運転

 

各分野の技術革新をけん引するAI

 

コラム:拡大するAI関連事業の市場規模

AI関連事業は今後、世界の発展を根底から支えるということもあり市場規模は以下の通り大きく拡大することが予想されています。

AI関連事業の市場規模の予測

事業 2025年時点の市場気兆円お
IoT 3.9兆〜11.1兆ドル
モバイルインターネット 3.7兆〜10.8兆ドル
知識労働の自動化 5.2兆〜6.7兆ドル
クラウド技術 1.7兆〜6.2兆ドル
先端ロボット 1.7兆〜4.5兆ドル
合計 16.2兆〜39.3兆ドル

 

また、2020年に比べてAI関連企業の売上高は2027年までに12倍になると想定されています。

 

AI 関連企業の売上成長予測

 

運用はアリアンツ・グローバル・インベスターズが担当するため手数料が高い

グローバルAIファンドを売り出しているのは三井住友DSアセットマネジメントです。

しかし、実際に運用するのはアリアンツ・グローバル・インベスターズとなっています。

アリアンツは世界最大級の保険会社でグローバルに資産運用業務をおこなっています。

アリアンツ・グローバル・インベスターズとは?

 

関係者が多くなると手数料が高くなるのは世の常です。グローバルAIファンドの手数料は以下の通りとなっています。

  • 購入手数料:3.3%(税込)
  • 信託手数料:年率1.925%(税込)

 

初年度は5%の手数料が発生するということですね。

 

組入上位業種と組入上位10銘柄

以下は2023年6月末時点の組み入れ業種です。

業種名 2023年6月末 2023年3月末 2022年11月末
1 情報技術 52.20% 57.30% 52.10%
2 コミュニケーション・サービス 13.80% 15.60% 11.80%
3 一般消費財・サービス 10.80% 12.80% 8.80%
4 ヘルスケア 9.40% 6.20% 8.60%
5 資本財・サービス 5.50% 1.50% 7.20%
6 素材 2.2 - 2.90%
7 エネルギー - - 2.80%
8 ⾦融 1.90% 2.30% 0.50%
9 不動産 - - 0.10%

 

相変わらず情報技術セクターが52.2%と突出しています。つまり、2022年はグローバルAIは大暴落だったということを意味します。

2022年はテクノロジー系のグロース企業が暴落していきましたからね。2023年は多少回復しました。

続いてポートフォリオ上位です。上位はNvidia、マイクロソフト、テスラ、メタ、アマゾンと大型テクノロジー株偏重のポートフォリオになっています。

 

グローバルAIファンドの構成上位銘柄

 

テスラは電気自動車バブルとコロナショック起点の金融緩和の掛け算であっという間に株価は暴騰し世界一の時価総額の自動車会社となりました。

しかし、バブルが弾け、金融引き締めが起こった結果、どんどん株価は暴落しました。今は回復していますが、高値からは遠いですね。

 

過去のポートフォリオ上位銘柄の推移は以下です。ロクが1位だった頃があったのですねという感じです。

さすがドットコムバブルの再来です。ほとんどの銘柄が酷いことになっていますね。こんな感じなので情報通信セクター特化のテーマファンドはリスクがとても高いのです。

2022年11月から2023年6月末までに大幅に銘柄を入れ替えているのが分かりますね。大型テクノロジー株に絞っています。

 

2023年6月末 2023年3月末 2022年11月末時点 2022年8月末時点 2022年2月末時点 2021年6月末時点
テスラ エヌビディア オン・セミコンダクター テスラ テスラ ロク
アマゾン マイクロソフト テスラ オン・セミコンダクター ズームインフォ・テクノロジーズ テスラ
オン・セミコンダクター テスラ マーベル・テクノロジー スームインフォ オン・セミコンダクター アマゾン
メタ・プラットフォームズ メタ ブロードコム トレードデスク ブロードコム アップル
アドビシステムズ オンセミコンダクター ディア プラグパワー マーベル・テクノロジー スナップ
ディア アマゾン スームインフォ マーベル・テクノロジー アマゾン・ドット・コム GE
トゥイリオ マーベル アルベマール エンフェーズ ディア FB
ネットフリックス アリババ マイクロチップテクノロジー メタ(旧FB) シュルンベルジェ ウォルト
ショッピファイ エンフェーズ エレバンスヘルス クラウドストライク フリーポート・マクモラン ディズニー
エレバンスヘルス ズームインフォ シュルンベルジェ ブロードコム エヌビディア ブロードコム

 

筆頭銘柄だったロクやスナップは今酷いことになっていますね・・・。スナップは株価が10ドル以下になってしまっています・・・。

バブル崩壊とは恐ろしいものですね。グローバルAIの上位銘柄にはこの二社はもういないものの、暴落時もしばらく保有されていました。基準価額を見れば、よくわかると思います。

<ROKU>

ROKUチャート

 

<SNAPチャット>

SNAPチャート

 

暴落してしまうような投資対象というのは、毎日投資家は緊張感を持って相場を見張っておく必要があるということです。

毎日相場を見るのは非常に大変で、その努力の上にハイリスク・ハイリターンがあるのです。毎日の観察がリスクを下げます。

しかし、多くの人がグローバルAIのようなハイリスクな投資先に、投資したらしっぱなしという人で溢れていますよね。

そんな方は、相場の観察がそこまで必要ではない、堅実な投資先で運用した方が複利効果も効いて良いのではないでしょうか?

 

【2024年】日本国内の魅力的なヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介! 

 

為替ヘッジありを選択するべきか?

グローバルAIファンドは為替ヘッジ有りか為替ヘッジなしを選択することが可能です。

為替ヘッジなしであればドル円レートが上昇するとリターンが増大し、反対に下落するとリターンが悪化します。

2023年11月現在、ドル円は150円となっています。完全に日米金利差と連動した動きになっています。

ドル円は日米金利差と連動

 

 

米国は高騰するインフレに対応するために中央銀行であるFRBは金融引き締めを実施しています。一方で日本は日銀がずっとゼロ金利政策を敷いていました。

結果的に以下の通り米10年債は上昇してきました。結果的に日米金利差が拡大してドル高円安の主要因となっていました。

 

米10年債金利

 

ただ、今後は経済活動が抑制されて景気後退が発生する可能性を高まっています。つまり米金利は低下する公算が高いということですね。

そして、日本側の金利も高まる可能性が高まってきています。実際、日銀もYCCの部分的な修正を発表し日本側の金利も高まる機運が高まっています。

今後はドル円は下落する可能性が高まっていることを考えると半年から1年という単位でみるのであれば為替ヘッジはつけたほうが無難でしょう。

 

グローバルAIファンドの運用成績を紐解く

それでは肝心なグローバルAIファンドの成績について見ていきたいと思います。以下はヘッジ無しの成績でみていきます。グローバルAIファンドは2017年の運用開始後から堅調に推移していきました。

しかし、コロナショック後から明らかに角度を変えて急騰しました。金融緩和時はストーリー株に投資するファンドが強いです。ROKU、SNAPなどは代表例ですね。

 

そして金融引き締めが囁かれ出した2021年末からグローバルAIファンドも失速です。

2023年7月現在、同ファンドはもっと深く掘っていくものと筆者は考えています。

ちなみに以下は為替ヘッジなしのファンドなので、円安効果でだいぶ暴落が和らいでいることがわかります。本来はもっと暴落しています。

 

グローバルAIファンド(為替ヘッジなし)の基準価額の推移

 

本来の銘柄ピッキングの実力を確認するのであれば、為替ヘッジありを見る必要があります。

グローバルAIファンド(為替ヘッジあり)の基準価額の推移

 

かつてはグローバルAIファンドはコロナを機にテクノロジー銘柄のサービスに対する需要が高まり利益が続伸し株価もうなぎのぼりに上げていきました。

以下は米国の代表的な指数であるS&P500指数との比較ですが、2020年のコロナショック後から青色のグローバルAIファンドが圧倒していました。

しかし、2022年以降は大幅に劣後していますね。

 

青:グローバルAIファンド
赤:S&P500指数(円建)

グローバルAIファンドとS&P500指数の長期比較

 

更に同じようにハイテク銘柄中心に構成されているナスダック100(円建)にも劣後したリターンとなっています。

青:グローバルAIファンド
赤:S&P500(円建)
緑:ナスダック100(円建)

2022年以降のグローバルAIファンドとS&P500指数とナスダック総合指数の推移

歴史でも類を見ない金融相場であった2020年を加えてもインデックス投資に負け続けているアクティブファンドです。

今後はハイバリュエーション銘柄を多数抱えるグローバルAIファンドのようなアクティブファンドは地獄を見ると思います。

金融政策に左右されない、堅実な運用先を投資家は模索すべきでしょう。

 

グローバルAIファンドの直近の下落の理由とは?今後の見通しは?

では、直近の下落理由と今後の見通しについてみていきたいと思います。

基準価額の下落の原因は金利の上昇

グローバルAIファンドの下落の理由は、ナスダック総合指数の下落の理由と同じです。ナスダックやグローバルAIファンドが組み入れている銘柄はグロース企業です。

グロース企業は将来利益が成長していく銘柄です。そしてグロース企業は金利の上昇によって株価が下落します。

 

理由は企業の利益というのは将来生み出されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出します。グロース企業の将来の利益を割り引いて足し合わせることで算出されます。そして金利が上昇することで割引率がおおきくなり現在価値が小さくなります。

利益が成長しない企業においては影響は少ないですが、将来の利益が大きい企業においては割引率が高くなると企業価値が大きく減少しています。

ディスカウントキャッシュフロー法

 

先ほど為替ヘッジの欄でお伝えした通り、米国の長期金利はインフレを抑え込むためのFRBの金融引き締めによって急騰していきました。

結果的にグロース株の価値が急激に縮小して株価の下落を招いていきました。

米国の10年債金利の推移

 

しかし、まだまだ米国のインフレは2023年11月現在高止まりして粘着し続けています。

原油などは落ち着きましたが、サービスインフレや雇用がまだまだ強いなど、課題は山積みです。

とてもグローバルAIファンドがくみいれているようなグロースファンドを購入できる状況ではありません。

 

今後はEPSの下落で株価は軟調に推移することが予想される

今までは金利の上昇によって株価が下落していきました。しかし、これから急激に金利を上昇してきたことにより米国経済は地盤沈下しかかっています。

金利が上昇することで企業が借り入れに億劫になり、事業を拡大することができなくなります。更にインフレによって個人の購買力も減少しています。今後は企業収益が下落することによりEPSの下落を伴って株価が下落していく可能性が高くなってきています。

実際、景気後退の確率は急激に上昇しています。

景気後退の確率

 

しばらくは米国株からは離れたほうが賢明だと筆者は考えています。実際に上記までの実績にはテスラ株の大暴落と円高が反映されていません。

以下はどのような環境でも利益を狙うことができるファンドについてまとめています。ご覧いただければと思います。

 

【2024年】日本国内の魅力的なヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介! 

 

掲示板やネット上のグローバルAIファンドの口コミ

グローバルAIファンドの口コミをみてきましょう。過去の栄光もあるのでポジティブな意見もあります。

米国のAI株ファンドの基準価格が、5年で4倍になりました 「グローバルAIファンド」という商品です。 私は早い時期からAI株ファンドへ集中投資したので、かなりの利益が出ています。 AI株が伸びることは、誰にでも予測できたことですよね? あとは人より少しでも早く動き、先行投資することが大事

-@sekihara_d

 

これは2021年9月2日時点のイケイケの時の感想ですね。

直近は元本から配当金を出す特別分配金となっていることを指摘されています。

うーん、グローバルAIファンドは特別分配金になってもうたから一旦バイバイ

-@ponponpandachan

 

以下はYahoo!ファイナンスの口コミです。

テスラほんとすごいな
組入比率下げてくれねえかな

 

テスラの暴落を見て悲痛の声が聞こえます。

 

僕もホルダーです、来年も下がりそうですが5年はもっときます。売ってしまうと買い戻せないので。

 

なぜ下がりそうなのに持つのでしょうか。テーマファンドの長期投資は非常に危険です。2021年末までは、30年来の米国金融政策(低金利政策)を背景に情報通信セクターの銘柄は上昇を続けました。長期にわたるバブルだったのです。

しかし、今後は同様の30年になるかというと、すでにGAFAMをはじめとした大型テック企業の成長が止まってしまったため、米国株式市場の強靭な足腰となる成長ドライバーがなくなってしまいました。次なる成長はどこかというと、米国株ではないと筆者は考えています。

つまり、5年待ったところで、グローバルAIファンドが大きく上昇するかというと、そんな期待は持たない方が良いと思います。期待で長期保有するのは、初心者に多いですが早く抜け出さなければならない悪癖です。

 

当初は期待させるだけさせといて…大損しています。大幅マイナスとなっていますが、焦って売ってしまうとマイナス確定。置いといて値上がりを期待するか迷いどころです。

酷いファンドだな

今日は1000円以上のマイナスか ため息ばっかり

奈落の底に落ちそう。

1年間で35%の下落、来年前半には…?

テスラの下落がすごすぎてダメダメですな

いったいどこまで下がるんでしょうか、売るに売れない

今日もテスラが、足を引っ張るのかな!いい加減、組み入れから外してくれんかな!

トータルリターンは1年で-30%。AIに対する認識や期待が大きく後退しているのか。これだけ下げが続くと残念ながら撤退せざるをえない。

 

悲観の声が多いですね。しかし、テーマファンドは景気サイクルを理解してタイミングよく投資していかなければならない高度な投資なのです。

 

特定のテーマに投資する投信のリスクを認識しよう

当ブログでは特定のテーマに関する投信を冒頭にもお伝えしたとおり複数取り上げてきました。

しかし、共通していえるのはブームに乗っている時は大きなリターンを得られるものの、ブームが過ぎ去ると大暴落するという傾向があるということです。

 

ブームというのは崩壊します。日本のバブルも崩壊しましたよね。テーマがブームにのると株価が過剰に反応して実態を大きく超えて上昇していきます。

しかし、いつか開いた乖離は是正される方向に動きます。

つまり、ブームが終わったら暴落してしまうのです。

 

インベスターZ 5巻

インベスターZ 5巻

 

 

残念ながらテーマ型投信は長期的な資産形成に向いている投資信託ではありません。

長期的な資産形成を行うのであれば、どの環境でも安定したリターンを狙える戦略で運用がなされている必要があります。

以下では筆者が投資しているファンドを含めて安定的に資産形成を行うのにてきしたファンドについてお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

 

まとめ

グローバルAIファンドについて纏めると以下となります。

  • AI関連企業に投資
  • 運用はアリアンツグループが担当
  • 手数料は非常に高い
  • 米国テクノロジー企業が9割AI企業の
  • 売上は年率50%近い上昇が見込まれている
  • コロナショックで業績と株価が躍進した
  • しかし現在はバリュエーションが高い
  • 米長期金利の上昇が警戒水準
  • 今投資するのは非常に勇気がいるタイミング

 

もっと良い投資先はいくらでもあるので、考え直しましょう。

 

結び

 

 

急がば回れという諺がある通り、資産運用は長期的に複利で運用することによって大きな資産を形成することができます。

高いリターンを狙って投資をすると大抵大きなドローダウンに巻き込まれて投資そのものから撤退するという末路を辿ってしまいます。

人間の精神というのは暴落に耐えられるようには出来ていません。出来る限り資産の大きな下落を回避しながら着実なリターンを積み上げていくことが重要なのです。

 

年利10%であっても7年後には資産を2倍に、15年後には資産を4倍にすることができます。追加投資をすることで更に資産形成は早まっていくことでしょう。

さて、2024年以降、下落相場を回避しながら安定したリターンを積み上げるというミッションはなかなか難しくなってきています。

2010年代からパンデミック期に行った金融緩和の副作用でインフレが発生し金利が高くなることで株式市場の潜在的なリターンが低くなっているからです。

 

このような時にこそ年金基金や大学基金、更には欧米の超富裕層が投資をしている金融資産に目を向けるべきです。

上記のような機関投資家や超富裕層は金融市場の影響を抑制しながら、常に安定したリターンを求めて資産運用を実施しているからです。

以下ではリーマンショック等の暴落を回避しながら安定したリターンを出し続けている選択肢について詳しくお伝えしています。

筆者が1.5億円を形成する上でポートフォリオの主軸となった投資先も紹介しています。皆さまの資産形成の参考にしていただければ幸いです。

 

 

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